ここからは自分サイズの図面を元に、セーター用のデザイン図を作っていきます。ここでは私が作った自分用のサイズでデザイン図を作っていきますが、これが標準という事ではありません。
例えば身幅(の片側)は私のサイズ+5cm(全体では+10cmという事になります)としていますが、これは私がダブっとしたサイズが好きだというだけです。先生に伺ったところ、一般的には+1~2cmだとピッタリめ、+2~3cmだと普通ぐらいとの事です。
また裾は自分のヒップラインより2cm長くしていますが、これも人によっては短めのデザインにしたりするとの事です。
これ以降のデザインにつきましては、あくまで「参考」としてご理解いただければと思います。
またこのデザイン図は、最終的に編み図を作るためのスケッチ的な意味合いのものとなります。これ以降でご説明します袖ぐり等の曲線部分(カーブ)や、肩や袖の斜線部分等は、最終的にはデザイン図を元に編み図になります。
袖ぐり等のカーブは幾何学的にポイントを決め、最終的には「概ね」という形でハンドライティングでカーブを描きます。そして肩や袖の斜線部分等は、算数的に計算によってスケッチとしての斜線を決めていく事になります。
ですのでデザイン図においては、「どのように幾何学的にカーブのポイントを決めるのか」について大まかにご理解いただければ十分です。
(後ろ身頃のデザイン図を描く)
① 自分サイズの図面を用意します。

② 袖ぐりに余裕を持たせるために、B(胸囲)線の1.5cm下から、身幅に約5cmの余裕を持たせるために右に向かって28cmの横線を描きます(右端の点をE点とします)。
これでSP(ショルダーポイント:肩先)から脇下までが、自分のアームホールAH(腕つけ回り)の半分の22cm(44cm÷2=22cm)より1.5cm広くなって、23.5cmとなった事になります。
そしてSP-D線を補正したBラインまで伸ばします。この交点をF点とします(SP-F:23.5cm)。

③ H(腰囲)線もB(胸囲)線と同様に補正して、(このセーターの場合には)H(腰囲)線の2cm下に補正したB(胸囲)線と同じ長さ(28cm)の横線を描いて、左側部分も補正した上で、右端と上記E点も結びます。

④ ここから袖ぐりのカーブを描きます。SP-Fの中央をG点とします。

⑤ G点とE点を結び、その中央をH点とします。

⑥ H点とF点を結び、その中央をI点とします。

⑦ G点からI点を通ってE点に至るなだらかなカーブを、ハンドライティングで描きます。これが脇部分の線となって、「袖ぐり」となります。

⑧ 次は衿部分を修正します。NP-SP線上で、ネックポイント(NP)を2cm後ろ方向に移動させ、New NPとします(従前のNPより、約5mm高さが低くなります)。New NPからN(首回り)線に向かって2cm程度なだらかなカーブを描きます。
これで後ろ見頃の全体図が描けた事になります。

(前見頃の衿ぐり部分を描く)
⑨ ここからは、同じ図面でこのまま前見頃の衿の部分を描きます。New NPから下に向けて、当初の首回り(N)の1/6の長さ7cm(=41cm÷6=6.83cm)を2cm後退させた分(9cm=7cm+2cm)だけ直線を引きます(この終点をJ点とします)。
J点から左側に水平に、同じく9cm分の直線を引きます(この点をK点とします)。

⑩ New NP点とK点とを直線で結び、等分した中間点をL点とします。

⑪ L点とJ点を直線で結び、等分した中間点をM点とします。

⑫ New NP点から、M点を通ってK点までのなだらかなカーブを描きます。この曲線が前見頃の「衿ぐり」となります。

これで後ろ身頃と前見頃が描けました。

(前身頃の袖ぐりについて)
ここでは後ろ身頃と前身頃の袖ぐりを全く同じとしましたが、前身頃の袖ぐりを、後ろ身頃の袖ぐりよりも深くするのが一般的のようです。
後ろ身頃のカーブはAH線の中央から始まりましたが、前身頃ではAH線の下から1/3の点からカーブを始めると袖ぐりが深くなるとの事です。
先生にその理由を伺ったところ、女性の場合は男性とは違って胸の部分に凹凸があるため、前身頃の袖ぐりを深くするのが一般的との事でした。そして女性用の作図が基本のため、男性用でも前身頃の袖ぐりを同じように深くするようです。
しかしながら手編みかつニットであればあまり問題はないとの事でしたので、私の場合は、これまで編んだセーターやベストは全て両見頃とも同じ袖ぐりのカーブで編んでいます。
(後ろ見頃の方部分の補正)
ここまでは後ろ見頃と前見頃のサイズを同じとする方法で作図してきました。しかしながら、肩部分の厚みがある人の場合には、後ろ見頃の方部分を少し大きめ(長め)にして背中側に少し余裕をもたせる方法があります。その方法についてもご説明させていただきます。
私は後ろ見頃を補正したものも補正していないものも作りましたが、着た感じは私にはどちらもあまり違わないかなという感じです。ご参考まで。
後ろ見頃を補正した場合には、袖を付ける時に少し調整が必要になります。補正していない場合には袖の肩先部分と見頃の肩先部分を合わせて袖付けをしましたが、後ろ見頃を補正した場合には袖の肩先部分は見頃の肩先部分より概ね補正した寸法の半分ぐらい後ろ見頃側にずらして袖付けをする事になります。
補正する寸法は男性の場合にはだいたい3cm(女性の場合は2cm)というのが一般的との事ですので、袖付けをする際には両身頃の肩の合わせ目より1.5cm(女性の場合は1cm)ぐらい後ろ身頃側に、袖の肩先部分をずらして付けるという事になります。
⑬ 背中や肩の厚みを調整するためには、後ろ見頃について衿下がりとNPとSPの位置を数センチ前見頃より高くします。この例では、衿下がり部分を2cm、NPを3cm、SPを3cm高くしています。

なお男女別の標準的な補正寸法は以下の通りです。
男性の場合の補正分量は
- 後ろ見頃のSPを3cm直上
- 後ろ見頃のNPを3cm直上
- 後ろ見頃の衿下がりを2cm直上
女性の場合の補正分量は
- 後ろ見頃のSPを2cm直上
- 後ろ見頃のNPを2cm直上
- 後ろ見頃の衿下がりを1cm直上
⑭ 平面原型と同様に、NP-SPライン上でNP(ネックポイント)を2cm後ろ方向に移動させて(New NP)、New NPから補正したN(首回り)線に向かって2cm程度なだらかなカーブを描きます。これで補正原型の衿ぐりも、セーター用に修正された事になります。
