植木算の場合の間隔の幅は小数点が付く場合がありますが、編み物の場合には目数や段数は必ず整数とするため(小数点の付く目数や段数はあり得ないため)、独特な計算方法となります。

セーターの肩下がり部分のデザイン図

 セーターのデザイン図は下の図の通りであり、肩下がり部分だけを拡大するとその下の図の通りとなります。

デザイン図をゲージに従って段数と目数を割り出す

 このセーターのゲージは以下の通りであり、このゲージに基づいて高さと幅部分を編み図に落とします。なお以下での「編み図」では、ゲージに合わせて縦横を概ね1:0.7とした図となっています。

 高さ部分 :3.5cm×13.6÷10=4.76≒6段(段数は2の倍数でなければならないため)

 幅部分  :12.0cm×10.7÷10=12.84≒13目

段数と目数から、どのような肩下がりの直線とするかを算出する

 ここからの計算方法は、編み物特有の計算方法となります。編み物は「表編み・ウラ編みで1セットとなるため、段数は必ず2の倍数としなければなりません

 また普通の植木算の場合は解が整数ではない場合もありますが、目数の場合には整数でなければならない(小数点のある目数は物理的に編めない)ため、独特の調整が必要となります

 ここでの計算は下の図にあるように、「6段の間で、13目を概ね均等に減らしていく」事を計算で求める事になります。

① まず13目を4で割ります

 この場合の「4」は、6段を「1セット」となる2(段)で割り、植木算の例にあるように両側が空く場合のように考えるため、「1」を加えたものとなります(4=6(段)÷2+1)。

  • すると解として3」が立って、余りが1という事になります。
  • その余った1」を割る数である「4から引くと、(左下の)「3」となります。

② これで、「(2段毎に)3目減らしを3回行う」というように考える事になります。

③ そして解である「3」に「1」を足します。すると「4」という事になります。

④ この計算で、「(2段毎に)4目減らしを1回行う」というように考えます。

 これらを合わせると、「(2段毎に)3目減らしを3回、4目減らしを1回行う」という事になります。

 しかしながらこの回数を全て足してしまうと「3(回)+1(回)=4(回)」となり、目を減らすのは2段毎のため、全部で「8段」(=2段ごと×4回)という事になって、計算が合わなくなってしまいます(減らしていくべき段数は6段のため)。

 そこで植木算の時のように「何もしない段が1組ある」と考える事となります(下の図の緑の四角部分)。

 計算上の「全4(回)のうち1回は植木算の例のように「何もしない(植えない)」と考えて、「(2段毎に)3目減らしを3回行い(3目×3回=9目減った事になる)、残った4目(=13目-9目)分は何もしない」と考えます。

 これを編み図にすると、下の図のようになります(右側は植木算の例を当てはめた図になります)。

 「1(2)段目3目減らし、3(4)段目3目減らし、5(6)段目3目減らし、最後の4目分は何もしない」という考え方となります。

 なお肩下がり部分の編み図を計算で求める場合には、このように「多い目の部分を上の段に持ってくる」のが基本となります。ただしあくまで「基本」であり、デザインによっては逆にする場合もあるようです。そして曲線部分の時と同じように、「なるべく線に食い込まないようにする」のも基本です。

 ここでご紹介しているセーターはその「逆のパターン」となっていますが、段数が6段と少ない事、手編みでかつニットである事もあり、出来上がりには大きな違いはありません。

 ちなみに下の各図は「(差引きの)4目残し」が肩先側の場合が下の上段の図(黄色斜掛け)で、その逆が下段の図(青色斜掛け)となっています。比べると、基本の場合の方(青色斜掛け)が、斜線への食い込みが若干少ない事がお分かりいただけると思います。

 この考え方の中で、「なぜ割る数(4)から余りである1を差し引くのか?(①部分)」という疑問、「なぜ解(3)に1を足すのか?(③部分)」、そして「なぜ全部の回数(3回+1回=4回)のうち1回分は何もしないと考えるのか?」といった複数の疑問が出てきて、私は頭を悩ませました。しかしながらネットで色々調べたのですが、理論的に分かりやすいものは見つかりませんでした。

 ただこのように計算すれば必ず正しい編み図ができるという事は間違いありませんので、こうした疑問は「編み物独特の考え方だ」と割り切った方が良いと思う事としました。

 なおサイズやゲージによっては余りが出ない場合(0)もありますが、その場合は「〇目減らしをゼロ回行う」という考え方となります。

左右の肩下がり部分を編み図に落とす際の注意

 これまででとりあえず向かって右側の肩下がり部分を編み図に落としましたが、当然に左側の肩下がり部分も編み図に落とさなければなりません。この時に注意しなければならないのは、「右側部分は「-1」段目から始まる」事と、「左側部分は右側部分より1段ずつ上の段となる」という事です。

 向かって右側最初の部分の引換えし編みは、その1段下の偶数段から始まるからです。そのため1段目の奇数段で3目減るようにするためには、その1段下の偶数段で3目残す必要があるためです。

 後ろ身頃も前身頃もそれぞれ1枚のものとして編みますが、同じ段で目数を2以上減らす事はできません。そのため、向かって左側部分で2目以上減らす場合には、向かって右側で減らした段の次の段で減らす事になります。ここは編み物で面倒だなあと思うところではありますが、物理的に仕方ない事なので私は無理やり納得する事にしました。左右それぞれの編み図を衿部分を省略して並べると、このようになります。

 向かって右側の最後の「段消し」は、ウラ編みで衿部分から肩先部分に向かって編んでいく事になります。反対に、向かって左側の最後の「段消し」は、表編みで衿部分から肩先部分に向かって編んでいく事になります。

 そのために向かって右側の最後は偶数段でなければなりませんし、向かって左側の最後は奇数段でなければならない事になります。これも編み物の物理的に仕方ない事ですので、「こういうもんだ」とご理解いただくのがよろしいかと思います。

 また前半でセーターを編んでいただいた時にやっていただいたように、肩下がりの最後は「段消し」で斜線を滑らかにしました。この「段消し」部分も編み図には加えます。

 このように、最後の段の次の段に肩下がりの目数と同じ分だけ赤線で描いてあるようなボックス状の編み図を付け加えます。これが段消しを表す編み図です。

 これをメモリーシートに落とすと下の図のようになります。ただ私には肩下がりの部分のメモリーシートは分かりにくく感じるので、一応メモリーシートは作りますが、メモリーシートは編み図の参考として主に編み図を見ながら編んでおります。ご参考まで。

(ここ以下は少し分かりにくいので、「参考まで」としてお読みください。)

 袖ぐりの部分の31段目の目数は46目でした。この袖ぐり部分の延長が肩下がり部分となります。袖ぐり部分のメモリーシートに合わせて各段での編む目数を入れたメモリーシートは、下の通りとなります。

 なお前半部分で編んでいただいた時と同じように、37段目は表編みで(段消し分に合わせて)4目編んだら左針を休めるので、37段目には〇印を付けてあります。そのため右側の青字は「4」という事になります。

 37段目の向かって左側では最後に3目残して、やはり最後の段消し分に合わせて4目だけ編む事になります。そのため左側の青字は「4」という事になります。

 後ろ衿ぐり部分は伏せる事になりますが、伏せる目数は20目となります(=31目(36段目で編んだ目数)―4目(向かって右側部分の目数)―3目(向かって左側で残す目数)―4目(向かって左側の最後の段消しに合わせて37段目で編む目数))。

 言葉と数字だけで表そうとすると、このように分かりにくくなってしまいます。そのため先ほど申し上げた通り、私は肩下がり部分については、1段1段編み図を見て編んでおります。

投稿者

スズキ タロウ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)