メモリーシートのご紹介
ここまでで脇下部分まで編めましたので、ここから肩下がりの手前まで編んでいきます。下の編み図の「3」の部分のご説明になります。

ここからは「メモリーシート」というものを使います。メモリーシートとはこんな感じのものです。

メモリーシートは目数の増減チェック表です。日本ヴォーグ社から税込み495円で販売されています(32枚綴り)。メモリーシートの詳細は、リンクからご覧ください(なお商品等のリンクを貼る事につきましてはヴォーグ社さんよりご了承いただいております。ヴォーグ社様、ありがとうございます)。私がずっと前に買ったものは1ページで100段分(50段分ずつ)なのですが、最新版は1ページで150段分になっているようです。
これはセーターの袖ぐり部分や袖を編む時に使います。これを使えば概ね編み図を見なくても編む事ができます。これは手芸品店でも販売されていますが、欠品の場合もあるのでネット注文の方が無難だと思います。
メモリーシートの見かた

上の全体図だと分かりにくいので、一部を拡大してご説明します。中央の「段数」は、予め数字が入っていて段を表します。その左右の「増減目数」部分には、減らす目数や増やす目数を書き入れます。
上記の例だと「48段目は右側で3目減らす」という事を簡単に「―3」と右側に書いて表しています。
「技法オペレーション」のところには、「どのような編み方をするか」を書き入れます。この部分はあまり欄が大きくないので、簡単に記号を書き入れます。セーターの場合だと、肩下がりの部分でこの「技法オペレーション」に記号を書き入れます。
このセーターのためのメモリーシートの全体は、以下の通りです。ただ縦長になって見にくいので、これ以降では部分部分に分ける事にします。

脇下から肩さがりの手前まで編む
この脇から肩先までの部分は「袖ぐり」と言います。全体図の「3」の部分になります。なお首の周りは「衿ぐり」と言います。「袖ぐり」とは袖付けのためにくり取った部分の事をいいます。そして「衿ぐり」とは首回りのラインの事を言います。
なおこの「ぐり」が何を意味するのかネットで調べたのですが、ちゃんとした解説は見つかりませんでした。この事を私が教わっている先生に話したところ、「これはくりぬくとかえぐるを意味する「刳る(くる)」がその由来ではないか」との事でした。私は「刳る」という表現すら知りませんでしたが、「確かに袖部分とか首回りはくりぬいた感じだよなあ」と思って、先生説に納得しました。

これが脇下から肩先部分までのメモリーシートです。編み図上はすでに目ゴム編みとメリヤス編みで全部で60段編んでいますが、メモリーシートに合わせてこの部分の編み始めを「1段目」とします。
私はより分かりやすくするために、一番左に「この段で何目編む事になるか」というのを数字で書いています。例えば1段目は「右側で2目減らして、全部で60目編む」という事になります(ここまで1目ゴム編みやメリヤス編みで各段で62目ずつ編んできましたので、2目減らすと全部で60目編むという事になります)。
ここからは分かりやすくするために、部分的なモリーシートと簡易版の編み図と言葉でどう編むのかをご説明させていただきます。メモリーシートと編み図の編む段には、分かりやすいように黄色で斜がけをしてあります。また部分的な編み図の編む段には、目数も入れておきます。
例えば右側から左側に向かって数字が増えている場合は、表側から見て向かって右から左に向かって表編みをしていくという事になります。また左側から右側に向かって数字が増えている場合は、(表側から見て向かって左から右に向かって)ウラ編みで編んでいくという事になります。
(1段目から3段目まで)
1段目


ここは脇下の始まりになります。ここでは「右側で2目減らす」事になります。ここでは、
① 1目表編みして、
② 次の目も表編みして、最初に編んだ目をかぶせます。
③ そして次の目も表編みし、右針に残っている目をかぶせます。
これで右側で2目減った事になります。そして最後まで表編みします。そうすると、この段の手前までの目数は62目でしたので、全部で60目編んだ事になります。
ここでは最初の目を編みましたが、これは脇下部分の角をはっきりさせるためです。3段目から上の部分は袖ぐりを滑らかにするために、目を減らす時には最初の目は編みません。
2段目


① ひっくり返して、1目ウラ編みします。
② 次の目もウラ編みして、最初に編んだ目をかぶせます。
③ そして次の目もウラ編みし、右針に残っている目をかぶせます。
これで(表側から見て)左側でも2目減った事になります。そして最後までウラ編みします。そうすると前の段での目数は60目でしたので、この段では全部で58目編んだ事になります。
1目を減らすだけの場合は同じ段で編み始めでも編み終わりでも減らす事ができますが、編み始めの部分でしか2目以上を減らす事はできません。そのため向かって左側で2目以上を減らす場合には、次の偶数段のウラ編みの編み始めで目を減らす事になります。
2目以上目を減らす場合には目が減る段が左右でずれますが、手編みでかつニットなので、そこは目立つような事はありません。
3段目


① 最初の目を右針で取って、
② 次の目を表編みします。
③ そして取った目をかぶせます。
これで右側で1目減った事になります。1段目と2段目は脇下の部分なので角をはっきりと出すために1目めを編みましたが、脇下より上の部分ではこのように1目めは編みません。そのまま最後に2目残るまで、ずっと表編みをします。
そして最後の2目が残ったら、その2目をまとめて編む「単純な表編みの2目一度」とします。これでこの段では56目編んだ事になります。
(4段目から8段目まで)

これ以降は単純なメリヤス編みと3段目と同じように両側で減らし目をするだけなので、言葉だけでご説明させていただきます。
4段目
ひっくり返して、全てウラ編みします。この段でも56目編む事になります。
5段目
① 最初の目を右針で取って、
② 次の目を表編みします。
③ そして取った目をかぶせます。
これで右側で1目減った事になります。そのまま最後に2目残るまで、ずっと表編みをします。そして最後の2目が残ったら、その2目をまとめて編む「単純な表編みの2目一度」とします。これでこの段では54目編んだ事になります。
6段目
ひっくり返して、全てウラ編みします。この段でも54目編む事になります。
7段目
① 最初の目を右針で取って、
② 次の目を表編みします。
③ そして取った目をかぶせます。
これで右側で1目減った事になります。そのまま最後に2目残るまで、ずっと表編みをします。そして最後の2目が残ったら、その2目をまとめて編む「単純な表編みの2目一度」とします。これでこの段では52目編んだ事になります。
8段目
ひっくり返して、全てウラ編みします。この段でも52目編む事になります。
(9段目から20段目まで)

9段目と10段目
ここからは比較的単純な作業が続きます。9段目は全て単純な表編みとして、全部で52目編みます。10段目は全て単純なウラ編みとして、やはり52目編みます。
11段目
① 最初の目を右針で取って、
② 次の目を表編みします。
③ そして取った目をかぶせます。
これで右側で1目減った事になります。そのまま最後に2目残るまで、ずっと表編みをします。そして最後の2目が残ったら、その2目をまとめて編む「単純な表編みの2目一度」とします。これでこの段では50目編んだ事になります。
12段目から18段目まで
偶数段は全て単純なウラ編み、奇数段は全て単純な表編みとします。12段目から18段目までは、全て50目編む事になります。
19段目
① 最初の目を右針で取って、
② 次の目を表編みします。
③ そして取った目をかぶせます。
これで右側で1目減った事になります。そのまま最後に2目残るまで、ずっと表編みをします。そして最後の2目が残ったら、その2目をまとめて編む「単純な表編みの2目一度」とします。これでこの段では48目編んだ事になります。
20段目
ひっくり返して、全てウラ編みします。この段でも48目編む事になります。
(21段目から31段目まで)

21段目から31段目までは単に表編みとウラ編みを繰り返すだけです。また編む目数も全ての段で48目づつになります。
ここまで編むと、肩下がりの初めまで編んだ事になります。肩下がりの編み方は少し面倒なので、1~3段目と同じようにメモリーシートと編み図を併記してご説明します。