ここまでで、実寸ベースでのセーターのデザイン図が描けました。ここからはデザイン図を編み図に落としていきます。

 本来はゲージメジャーを使って編み図を描くのですが、そのやり方だと大変なので、私はExcelで簡易な編み図のベースを作って、その図で編み図を描いています。

 デザインノートは正方形で構成されていますが、実際の目の幅と段の高さは同じではありません。いくつかのゲージを比べてみたのですが、目の幅と段の高さは概ね1:0.7ぐらいかなと思っています。そこで横と縦を概ね1:0.7にしたExcelで図を作り、それをプリントアウトして使っています。参考までにそのExcel図面をブログにインポートしておきます。リンクよりアップロードしてご利用ください。

 なおヴォーグ社から、編み図記号を書いたり曲線部分の編み図を作るために「グラフノート」というものが販売されています(税込み550円)。ご参考まで。

 以下では私が使っているExcelの図面(以下「自作のグラフノート」と称させていただきます)を使ってご説明させていただきます。

 なおこれ以降の編み図はここまでに作ったデザイン図に基づいて作っております。前半で編んでいただいたセーターは途中で事後的な微調整が入ったりしている事があるため、これ以降での編み図と若干異なるところがある事につきましては、ご了承ください。

セーターの袖ぐり部分のデザイン図を編み図に落とす

 セーターのデザイン図は以下の通りですが、袖ぐり部分だけを拡大すると右側の図の通りとなります。

 右側の図を拡大すると、このようになります。

① 袖ぐり部分の、曲線となる部分だけを自作のグラフノートに落とします。

 ゲージはカプチーノの3本取りで、編み針は8mmを使用し、以下の通りとなります。

  • 横は7cmなので、ゲージ割合を掛けて7目分横線を引きます(7cm×10.7÷10=7.49≒7目)。
  • 縦は23.5cmなので、ゲージ割合を掛けて32段分縦線を引きます(23.5cm×13.6÷10=31.96≒32段)。
  • 各線の端部分をそれぞれA、B、Cとします。

 デザイン図を編み図にすると、下の右側の図のようになります。

 編み図に落とした図を拡大すると、以下のようになります。

 ここからは、デザイン図で袖ぐり部分の曲線を描いたのと同じ要領で、カーブを描いていきます。

② A―B線中央D点とし、D―C線中央E点とし、E―B線中央F点とします。

③ D点からF点を通ってC点に至るまでの、なだらかなカーブをハンドライトで描きます。

③ ハンドライトで描いた曲線に概ね沿うように段を描いていきます

  • 」は2段毎・4段毎等の偶数段とします。
  • 曲線より外側にある分は良いですが、曲線にはなるべく食い込まないように段を付けるのが基本です(しかしながら、手編みかつニットなので、厳密でなくても問題はありません)。

⑤ 右側での減らし目部分の編み図ができたら、左側での減らし目部分も作図します。その際の注意事項は以下の通りです。

  • 2目以上左側で減らす部分については、右側で目を減らした段の次の段で減らします青矢印部分をご覧ください)。
  • 2目以上は編み始めからでないと減らせないためです。図面の青矢印をご覧ください。左側での2目減らしは、右側の次の段になっている事がお分かりいただけると思います。
  • 1目減らす部分については、右側で目を減らした段と同じ段とします。

編み図をメモリーシートに落とす

 全ての編み図を作ってそれに従って編んでもいいのですが、見やすい編み図にしようとすると図面自体を大きくしなければならず、結構大変な作業になります。模様を付ける場合には編み図は必須ですが、シンプルなメリヤス編みで編む場合であれば、簡単な方法があります。

 ここで登場するのが前半でご紹介した「メモリーシート」です。例えばこの袖ぐりの部分は、比較的規則的に左右両側で目を減らしていきます。そこで何段目で何目減らすのかを数字で書いていきます。前半でのメモリーシートは、ここまでのように一旦向かって右側の袖ぐり部分を編み図に落とし、それに基づいて作ったものです。

 前記の⑤でご紹介しました通り、向かって右側さえできてしまえば向かって左側はそれに基づいて機械的に減らす段を決めてしまえばいいという事になります。

 私は、以下の手順で最終的な編み図を作っております。

① 自作グラフノートに、向かって右側の袖ぐり部分の編み図を描く

② 編み図に基づいて、何段目で何目減らすのかメモリーシートに書き入れる

③ 向かって右側のメモリーシートに従って、機械的向かって左側では何段目で何目減らすのかをメモリーシートに書き入れる

④ 向かって左側のメモリーシートに従って向かって左側の袖ぐり部分の編み図を描く

 なお肩下がりが始まる部分までは、編み図なしでメモリーシートだけで編む事ができます。ですので普段はこの部分は特に編み図には落としません。

 しかしながら肩下がり部分は引き返し編みになって数字や記号等だけだと分かりにくいので、肩下がりの始まりから最後までは編み図を描いて、1段ずつ確認しながら編んでおります。ご参考まで。

① 自作グラフノートに向かって右側の袖ぐり部分の編み図を描く

 上の図は、右側の袖ぐり部分の1段目から32段目までを拡大したものです。この図面では、

1段目 :2目減らす

3段目 :1目減らす

5段目 :1目減らす

7段目 :1目減らす

11段目 :1目減らす

19段目 :1目減らす  

 となっています。

② 向かって右側部分をメモリーシートに書き入れる

 これらをメモリーシートに書き入れます。書き入れたものは以下の通りです。

③ 向かって右側を元にして、向かって左側を機械的に書き入れる

 向かって右側部分の段段目で何目減らしていくかが書けたら、機械的に向かって左側部分を書き入れます。分かりやすいように、向かって左側部分は赤字にしておきます。

 2目以上減らす場合には、向かって右側で減らした段の次の段で減らします(黒矢印部分)。

 1目しか減らさない場合には、向かって右側で減らした段と同じ段で減らします。

 そして向かって左側部分を書き入れたら、各段の左側ところに「その段を全部編んだら何目編んだ事になるか」を書き入れておきます。これは私だけのやり方だとは思いますが、こうしておくと編んだ後で編んだ目数を確認して、間違いがないかを確認する事ができます。

 目数が多くなると途中で数が分からなくなる時もありますし、気を抜いて編んだりしていると途中で目を落としていたり、変な所で目を拾ってしまって目数が多くなったりする事があるので、私はこうして確認できるようにしています。ご参考まで。

 なお袖ぐり部分のスタートの手間は身幅が(片側で)28cmでしたので、「28cm×2×10.7÷10=59.92」となり、60目となります。ですので1段目で2目減らすので、左端の目数は「58」という事になります。

④ メモリーシートを元にして、向かって左側の編み図を描く

 これらを編み図に落とすと、下の図のようになります。

 このように部分的に左右で段がずれますが、手編みかつニットなので、出来上がりに問題はありません。

 編み図上は向かって右側の袖ぐりと向かって左側の袖ぐりの間はかなり空いておりますが、自作のグラフノートを使うと、このようにすぐ近くに描けて分かりやすくなります。

 私は少し拡大してプリントアウトした自作のグラフノートに、鉛筆で手描きで向かって右側を描き、それとメモリーシートを見ながらこのように(部分的に)向かって左側を描いております。ご参考まで。

 実際の袖ぐり部分の編み図は、向かって右側と向かって左側の間は大きく空いたものとなります。そのためこのように各段で何目編むかもメモ書き的にしたメモリーシートを作っておくと、後から全体の編み図も描きやすくなるかと思います。