ここまでで部分的な袖ぐり、衿ぐり、袖山カーブ、肩下がり、袖の編み図が描けました。ここからは、全体の編み図にしていきます。
私は自作のグラフノートを拡大コピーして、それぞれの部分を手描きで描いておいて、部分部分でそれを見ながら全体の編み図を作っています。まずは後ろ身頃の全体編み図を描きます。
なおここからの編み図やメモリーシートと、前半の編み方の時の編み図やメモリーシートは部分的に違っているところがあります。実際に編んだ時に使った編み図やメモリーシートは、事後的に微妙に修正したり調整したりしているためです。これ以降におけるそれぞれの違いについては、これからの編み図やメモリーシートが優先されるものとお考えください。
部分的な編み図





① 袖部分を描く
編む時は下から編みますので、まず裾部分を描きます。デザイン図において、身幅は片側28cmとして、袖ぐりより下は42cmとしています。
裾の1目ゴム編みは6cmぐらいにするというのが一般的との事なので、1目ゴム編み部分を6cmとすると、そこから袖ぐりまでは36cm(=42cm―6cm)となります。それぞれの目数・段数を、ゲージによって算出します。
なお1目ゴム編み部分の段数は、メリヤス編みの段数の1.2倍として計算します。先生からそのように教わったので、試しにメリヤス編みと1目ゴム編みのゲージを作って確認してみたところ、概ねこんな割合なんだなと納得しました。

身幅の目数 :28cm×2×10.7÷10=59.92 ≒ 60目
メリヤス編み部分の段数 :36cm×13.6÷10=48.96 ≒ 50段
1目ゴム編み部分の段数 :6cm×13.6÷10×1.2=9.79 ≒ 10段
これを編み図にすると、このようになります。

② 右側の袖ぐりのガイド線を描く
袖ぐりの目数は7目、段数は32段でした。そのガイド線を描きます。

③ 右側の袖ぐりを描く
ガイド線を参考にして、向かって右側の袖ぐりを描きます。

④ 左側の袖ぐりのガイド線を引く
向かって左側にも同じようにガイド線を描きます。

⑤ 左側の袖ぐりを描く
ガイド線を参考にして、向かって左側の袖ぐりを描きます。

⑥ 右側の肩下がりのガイド線を引く
肩下がりの目数は13目、段数は6段でした。そのガイド線を描きます。

⑦ 右側の肩下がりを描く
ガイド線を参考にして手書きした肩下がりの部分的な編み図を見ながら、向かって右側の肩下がりを描きます。ここで重要なのが「最初のラインはガイド線の1段下から始める」事です。

全体図だと小さくて分かりにくいと思いますので、肩下がりの部分だけを拡大した図を下に挙げておきます。

袖ぐりの最後の部分は32段目になっています。向かって右側の肩下がり部分は偶数目から始まりますので、編み図にするとこのようになります。
前半で編んでみていただいたように、肩下がり部分は「引き返し編み」となります。引き返し編みの場合は1段下から始まりますので、1段目の奇数段で3目減るようにするためには、その1段下の偶数段で3目残す必要があるためです。
そして一番上の段のもう1段上に、「段消し」部分の編み図も加えます。
⑧ 左側の肩下がりのガイド線を引く
向かって左側にも同じようにガイド線を描きます。

⑨ 左側の肩下がりを描く
向かって左側の肩下がりは向かって右側と互い違いになりますので、「最初のラインはガイド線から始める」事になります。そして一番上の段のもう1段上に、「段消し」の部分も加えます。

向かって右側の時と同じように手描きした肩下がりの部分的な編み図を見ながら、向かって左側の肩下がりを描きます。肩下がりの部分だけを拡大した図を下に挙げておきます。

点線のガイド線は向かって右側と同じ高さですので、向かって左側は逆側である向かって右側より1段ずつ上がっている事がお分かりいただけると思います。
肩下がり部分はこのように左右で1段ずれる事になりますが、前身頃も同じように左右で1段ずれるため、両方の身頃を合わせて肩を閉じると左右のバランスは取れる事になります。
⑩ 後ろ衿のラインを描く
それぞれの肩下がりの間は後ろ衿となりますので、その間をつなぎます。

後ろ衿部分の拡大図は下のようになります。

後ろ衿下がりはショルダーポイント(SP)の1cm下ですので、「1cm×13.6÷10=1.36」という事になります。四捨五入すると「1段」という事になりますが、1目だと7mm程度となってしまいますので「2段(=1.47cm)」とします。
後ろ衿部分は片側9cmなので「9cm×2×10.7÷10=19.26」となり、「20目」とします。これは結果的にそれぞれの肩下がりの空いた部分の目数とも一致します。
デザイン図的にはここまでで正しく編み図化する事ができましたが、編み物として完成させるにはもう1つ忘れてはいけない事があります。
⑪ 閉じシロを加える
前半で編んでいただいたように、セーターとするには両方の身頃を閉じる事になります。そのまま閉じてしまうと2目分身幅が狭くなってしまいますので、両側に1目ずつ「閉じシロ」を加えます。こうすれば閉じた時にもデザイン図と同じ身幅になります。

身幅は60目でしたが、閉じシロを加えますので、編み始めは「62目」という事になります。とすると袖ぐりの1段目と2段目の伏せ目も、1目増えて「3目伏せる」事になります。
⑫ 後ろ身頃全体の編み図
向かって右側の肩下がりを1段下から始めましたので、肩下がりの1段目の右端は1段分出っ張っていました。最終的にはその出っ張りをなくして「後ろ身頃の編み図」とします。

袖ぐりの初めを1段目とすると、37段目のところで後ろ衿の部分となります。ここでは掛け目をして1目滑らせてから3目編んだら、左針を休めてから、ひっくり返して向かって右側の段消しをする事になります。
そして向かって右側の肩下がりをほつれ止めで休めてから、休めておいた左針の目を20目伏せて、その後は向かって左側の肩下がりを仕上げる事になります。
袖ぐりより上の部分のメモリーシート
袖ぐりから肩下がりまでのメモリーシートはこのようになります。

袖ぐり部分
「23.袖ぐり部分を編み図に落とす」の時のメモリーシートの1段目の欄外の数字は「58」でしたが、ここでは「59」となっています。これは閉じシロ部分もここで伏せてしまうため、「62―3=59」という事になります。
肩下がり部分
肩下がりのところでは36段目までは両方とも黒字で表示しています。この段までは引き返しながら左右両方を編みますので、このように表示しています。
「技法オペレーション」の部分は左右どちらも「3」と数字だけ入っていますが、これは「この段で3目残るように編む」という事を表しています。
同じく「技法オペレーション」の所には「V」字と「〇」印がありますが、「V」字はすべり目をする事を表し、「〇」印は掛け目をする事を表します。どちらも編む方向に向かって「〇」印があって次に「V」字となっていますので、これは「掛け目をしてから(マーカーを掛けてから)、すべり目をする」という事を表しています。
37段目は右側の欄外の数字が青字で「4」となっていますが、これは4目表編みしたら左針を休める事になるため、「向かって右側では4目編む」という事を表しています。
37段目の部分には「20目伏せ」と注意書きをした上で、37段目の左側の欄外の数字は、赤字で「4」となっています。これは休めていた左針の目を20目伏せてから、この段で3目残るように編むため、この段で編む目数は4目となるという事を表しています。
右側の38段目と左側の39段目はどちらも「段消し」作業になります。これらの段で最後まで「段消し」作業を行い、肩の斜線を滑らかな直線として仕上げる事になります。
私は欄外に「その段で何目編むのか」まで欄外に入れていますので、全体の編み図を作ってからでないとメモリーシートを完成させられません。普通はこの欄外の数字は入れないんだと思います。
これはあまり効率の良いやり方ではないかもしれませんが、肩下がりや衿ぐりの部分はメモリーシートと編み図をそれぞれ見比べながら編むのが(私にとっては)一番間違いなく編めるので、私はこのようにしております。ご参考まで。