次は前身頃の編み図を描いていきます。前身頃は両方の肩下がりのところまでは後ろ身頃と全く同じになります。
① 両肩下がりまでの編み図を描く
後ろ身頃と同じように、肩下がりまで描きます。ここまでの部分につきましては、前回の投稿をご参照ください。

② 右側の衿ぐりのガイド線を描く
ここから先は少し分かりにくくなりますので、しばらく衿ぐり部分のみの編み図とさせていただきます。

衿ぐりは目数が10目、段数が12段でした。向かって右側のガイド線を描いていきますが、その描き方には調整が必要となります。
このガイド線の高さは12段です。そして向かって右側の肩下がりの一番上(段消しの1段下になります)は、37段目でした。そのためこのガイド線の右上部分を37段目に合わせてしまうと、ガイド線の下は26段目という事になってしまいます。
向かって右側の衿ぐりは偶数段で減らす事になりますので、これでは1段ずれてしまう事になります。これを調整するために、ガイド線の右上部分を右側の肩下がりの一番上(37段目)より1段下(36段目)に合わせます。
こうすれば向かって右側部分の衿ぐりの一番下(衿ぐりの始まり)は25段目になり、減らし目をする段は偶数段である26段目となりますので、問題なく編む事ができるようになります。
向かって右側の衿ぐり部分は奇数段で始まるようにしなければならないため、このような調整が必要になります。
③ 右側の衿ぐりを描く
ガイド線を参考にして手書きした衿ぐりの部分的な編み図を見ながら、向かって右側の衿ぐりを描きます。右上部分は1段分空いてしまいますが、これは最後に埋めて調整します。

④ 左側の衿ぐりのガイド線を描く
向かって左側のガイド線を描いていきます。このガイド線は、向かって右側のガイド線と左右対称にします。

⑤ 左側の衿ぐりを描く
手描きした衿ぐりの部分的な編み図を見ながら、向かって左側の衿ぐりも描きます。こうすると肩下がりの一番上の段との間は2段空いてしまいますが、これも埋めて調整する事になります。

⑥ 閉じシロを加える
後ろ身頃と同じように、両側に1目ずつ「閉じシロ」を加えます。

⑦ 前身頃全体の編み図

後ろ身頃と同じように、肩下がりの1段目の右端の出っ張りをなくします。そして向かって右側の衿ぐりの左端の一番上が1段分空いているのと、向かって左側の衿ぐりの左端の一番上が2段分空いているのも埋めて「前身頃の編み図」とします。
袖ぐり部分や肩下がり部分はそれぞれの端の部分でつながっていますが、衿ぐりの始まりの部分はつながっていないので、少し注意が必要になります。
衿ぐりの始まりは構造的に奇数段としなければならないので(左側部分での2目以上の減らし目(伏せ目)は偶数段でウラ編みでしか減らせないため)、前身頃の編み図を作る時はその点への留意が必要になります。
ここでは衿ぐりのガイド線を1段下げて調整しましたが、1段上げても同じように衿ぐりの始まりを奇数段とする事ができます。このゲージの場合だと1段の違いは7mm程度ですので、当初の計算との差はさほど大きくはないかなと思っております。
ただし私は正しい製図方法を学んではおりませんので、この考え方は間違っている可能性がある事はご容赦ください。しかしながら1段下げた時と1段上げた時の違いはこのゲージで1.4cm程度であり、これより小さいゲージであれば更にその違いは小さくなりますので、編み上がりの違いは気になるほどではないかと思います。
袖ぐりより上の部分のメモリーシート
前見頃の袖ぐりより上の部分のメモリーシートはこのようになります。

肩下がり部分は当然に後ろ身頃と全く同じになりますが、前見頃は衿ぐりが入ってくるのでちょっと分かりにくくなってしまいます。
私が最初に先生に(編み方を)教えていただいた時には、何も分からずに先生に言われるままにメモリーシートに数字を書き入れていきました。そして衿ぐり部分のメモリーシートの見方を教わりました。
これも普通は全て同じ色で数字を書き入れ、頭の中で「ここは向かって右側の編み方」とか「ここは向かって左側の編み方」と翻訳して編まれるのだろうと思います。
ただ私にはとても分かりにくかったので、ここにあるように向かって右側の衿ぐりと肩下がりの部分は青字とし、向かって左側の衿ぐりと肩下がりの部分は赤字としました。更に分かりやすくするために、下にあるように左右それぞれの部分のメモリーシートを別々に作りました。
向かって右側の衿ぐりと肩下がり部分

向かって左側の衿ぐりと肩下がり部分

このように左右のメモリーシートを別々にすると、非常に分かりやすくなります。25段目は19目表編みをしたら左針を休めて、その後は向かって右側だけを編む事になります。そして向かって右側が編み終わったら、今度は25段目に戻って8目伏せると、その後は向かって左側だけを編む事になります。
肩下がりも後ろ身頃の時は引き返しながら右側を編んで、次の段では左側を編んで・・・となりますが、前見頃は引き返し編みは片側だけになりますので、メモリーシートをこのように分ければ、私には後ろ身頃よりは編みやすいなと思いました。
衿ぐりと袖ぐりの拾い目
衿ぐりを仕上げる時には、目を拾ってから1目ゴム編みにしていきます。ベストにする時には、袖ぐりも目を拾ってから1目ゴム編みにしていきます。この時の拾い目の数は、計算によって算出します。その算式は以下の通りです。
(拾い目をする部分の)実寸×目のゲージ×1.1
例えばこのセーターの後ろ衿は18cmです。従って「18cm×10.7÷10×1.1=21.18」となりますので、20目としています。
袖ぐりも同じように計算します。なお衿がVネックの場合には、最後に掛けるのが「1.1」ではなく、「1.2」とするとの事です。
このように拾い目をする時は、デザイン図で実寸を確認して計算します。衿ぐりも袖ぐりもカーブを含みますので、やはりゲージメジャーは必要になります。